多店舗にまたがる印刷物の「発注」「経理業務」を圧倒的にラクにする方法

従業員数が数百人~数千人規模の多店舗・多拠点の印刷物の発注や、それに伴い発生する経理業務は想像以上に煩雑になりがちです。本部の管理部門担当者となれば、印刷コストを抑えるため、自らが各店舗の窓口となって要望を仲介し、デザインの制作依頼や確認、その後の印刷手配までしなければいけません。

例えば、キャンペーンを実施する場合、店舗ごとに日程情報を収集し原稿デザインに反映する必要があります。他にも、来店促進チラシであれば、各店舗の情報(住所、電話番号、案内地図など)を正確に記載するための確認が必要になるでしょう。

これらの手間を省くため、店舗の個々の要望を取り入れず、本部が主導権を握りデザイン制作を自己の判断で進めて印刷物を送り届けることもあります。しかし、それでは店舗ごとの要望を販促物に反映することができず、販促効果は不十分になるでしょう。

本部が主導権を握らず、販促効果を優先して、各店舗の判断で印刷物を手配することを許可した場合には、本部に店舗利用分の請求書がばらばらに届くため経理処理が煩雑になります。請求書のフォーマットや表記のルールが発注先ごとに異なり、費用内容の特定がむずかしく、請求書の振り分け業務だけでも一苦労です。また、発注先ごとに支払い方法が異なることで処理が煩雑になるケースもあります。

ある発注先はクレジットカードで支払い、ある発注先は初回のみ依頼前の入金が必要になったりするなどです。支払い条件が異なることで支払い対応そのものだけでなく、店舗からの対応方法への問い合わせ業務が増えることも煩雑化する一因となります。そのため、店舗数が多いほど業務が増えていきます。

今回は、印刷の発注業務や経理業務にかかる手間を少しでも省きたいという方に、どうすれば多店舗にまたがる印刷物の「発注」「経理業務」を圧倒的にラクにできるのか、その具体的な方法をご紹介します。

印刷物の発注業務をシステム化する

社内の販促物の発注業務に生じる手間を少しでも軽減したいのなら、“発注業務のシステム化”を検討してみてはどうでしょうか?発注業務をシステム化することでどのようなメリットがあるのか、またシステム化の方法についてもご紹介します。

印刷物発注をシステム化するメリット

発注、経理業務の改善に役立つのが業務のシステム化です。業務をシステム化すれば、どれだけ支店が増えても注文情報がデータベース化されるため、さまざまな用途でデータを活用できます。

例えば、発注業務で繰り返し依頼する注文がある場合、過去の注文をシステム上で呼び出して数量のみ変更して注文することなどが想定できます。それにより注文内容の再入力の手間を軽減したり、依頼内容の仕様の間違いを防いだりできるメリットがあります。

また、経理での店舗経費の振り分けや店舗損益の把握がスムーズにできます。これで、今まであいまいになりがちがった費用対効果を具体的な数字で可視化できます。他にも、各店舗・拠点での印刷物の利用状況を確認できるため、チラシなどの販促物が有効に活用できているか、などデータベースをもとに経営分析することも可能です。

システム化することにより発注業務と経理業務の効率が改善されるだけでなく、ミスが予防できたり、経営意思決定のための指標を出せるなど、幅広いメリットが生まれます。また、発注・経理業務のシステムを構築すると、他のシステムと連携したり、データの書き出し・他のシステムへの読み込みでデータを流用するなど、システム間の連携やシステムの情報の拡張も期待できます。例えば、さまざまなプロセスをひとつのフローとして統合管理したり、データの流用でさらに高度な経営分析の素材とすることなどができます。

システム化の方法

発注、経理業務のシステム化の方法は、企業によって異なります。例えば、汎用的な手段を選ぶのであれば、印刷通販サイトを利用することで、販促物の発注業務をシステム化できます。しかし、この方法は、販促物の制作を依頼する企業に合わせてシステム化しているわけではないので、管理者の意図をそのまま反映することは難しいです。各印刷通販サイトのシステムが持つ制約に対して社内の運用方法を工夫して対応することになります。

店舗と発注先間のフローを設計する

本部の発注、経理業務の負担を軽減するなら、各店舗の発注担当者に発注先とのやり取りを直接行ってもらうことが効果的です。すべてを直接化することが難しくても、一部でも業務プロセスから生じる負担を軽減できれば、本部の管理部門担当者の業務量は格段に軽減されるでしょう。ここでは「発注仲介業務の軽減の必要性」や「条件付きの承認フローの導入による社内の変化」、「仲介業務のゼロ化・自動組版を利用した取次」についてご紹介します。

発注仲介業務の軽減の必要性

多店舗印刷物_01

なぜ、社内の発注仲介業務から生じる負担を軽減する必要があるのでしょうか?まず、各店舗や拠点からの印刷物の依頼というのは、本部の担当者が仲介し、要望をとりまとめて印刷会社に発注するケースが多く見受けられます。発注する販促物の数量だけを確認する場合もあれば、細かなデザインの取り決めについて仲介するケースもあります。発注手段としては、メールやPDF添付、電話、共有スプレッドシートなどがあります。

上記のような手段では、店舗や拠点数が増えるほどに、販促物の管理業務が煩雑化し、いずれトラブルを起こす要因となります。例えば、4月前になると、本部は新年度の名刺制作業務や新年度の販促キャンペーンなどに追われるようになります。新しい名刺の発注や販促キャンペーンで業務量が過大になることで、本来なら注文する必要のなかった印刷物を誤って発注してしまったり、効率を優先することで作りすぎのムダが発生します。これが社内で起こりがちな購買管理の不具合により生じるミスです。

しかしながら、発注仲介業務が煩雑になりがちでも、複数の店舗やエリア単位で取りまとめて業務を遂行することで費用や負荷を軽減できるケースもあります。また、長時間労働が問題視されている現在では、繁忙月に担当者に仲介業務が集中し長時間残業が続くのであれば、決して好ましい状態ではありません。

業務量が過大であったり購買システムがうまく機能していない状況こそ、ICT技術を駆使して業務上のコミュニケーションを円滑にし、現場で起こる課題を解決していく必要があります。

条件付きの承認フローの導入

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発注仲介業務を軽減するにあたり、印刷物の決済・承認の権限を各店舗に与えるという方法があります。しかし、コストコントロールが難しくなるというリスクがともないます。そこで、企業では通常、稟議を申請するフローで決済・承認を行います。例えば、10万円以下は部長単独で決済を可能にし、10万円超では役員3名の承認を必要とするなど、承認・確認の工程にメリハリをつけます。こうすることにより、会社としてコストコントロールと業務スピードを最適化することができます。

これを印刷物の発注にも適用し、各店舗に一部裁量をもたせ、〇円超に関しては本部で承認を必要とし、〇円以下は店舗の判断で印刷物を発注できるようにすることで、発注仲介業務を軽減しながらも店舗ではタイムリーに印刷物を用意することができます。

もし、社内に条件付きの承認フローを導入するのであれば、商品の種類でフローを分類してもよいでしょう。例えば、人事発令にともない部署や役職がかかわる名刺などの印刷物は本部での決済・承認とし、販促物のチラシデザインについては店舗でプリントアウトする、直接印刷会社に依頼するなど、印刷物を店舗裁量で制作できるようするといった分類をするのも一つの方法です。

こうすることにより、本部の発注仲介業務の負荷がやわらぎ、店舗はスピーディーに印刷物をつくることができます。

仲介業務のゼロ化・自動組版による取次

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名刺の発注や定型化された販促物を制作するたびに、本部が取次をしていては、いつまでたっても仲介業務による負担が軽減できません。仲介業務自体は伝言ゲームのようなもので付加価値が小さいため、できればゼロに近づけるべきです。仲介業務をなくし、空いた時間で付加価値をうむ業務を行うことができるのであれば、企業としては業務改善に取り組まない手はありません。では、仲介業務をゼロ化するにあたり、それを可能にする仕組みとして「自動組版」というものをご存じですか?

何百人分の名刺データを制作しなければいけない状況でも、自動組版があれば各店舗で制作業務を分担することができます。自動組版は、ネットワークにつながったPCのブラウザ上で印刷物データを制作できるため、各店舗に制作作業を振り分けることができます。例えば、会社ロゴなど固定デザインの入った名刺データに、店舗で名前、メールアドレス、店舗住所などの文字を自由に入力し、内容の承認、印刷の依頼を店長が行える設定にすることで、印刷発注業務が店舗だけで完結します。

他にも販促物制作において、会社ロゴ・背景デザインを固定にしたデザイン台紙を設定し、商品価格やキャンペーン期間、訴求メッセージなどを営業担当が自由に入力できる項目を指定することで、販促物のブランドイメージを統制しながら個々のお客様に響く販促物を作成できます。

このように発注担当者と発注先によるやり取りをシステム化すれば、印刷物の質を担保しながら、本部の仲介業務はほぼゼロになります。各店舗や拠点でも、ある一定の範囲の中で自由に印刷物のデザインを制作することが可能です。

自動組版システムの導入にあたり一番重要なことは、各店舗の従業員が直感的に利用できるということです。高機能であるがゆえに、操作が難解で特定のスキルを持つ人材しか利用できないものであれば、導入する意味がありません。

実際に、編集の自由度や拡張性が高い数百万円のシステムを導入したものの、各支店や各店舗で働く従業員が使いこなすことができず、最終的にはほとんど使われなくなってしまったという例もあります。従業員が現場で活用できるように、システムのUIや使い勝手のカンタンさは非常に重要な要素となります。

注文履歴データを経理業務に活用する

多店舗・多拠点を展開する企業は、店舗数・拠点数に比例して取引量が増える傾向があるため、売上、仕入れを計上する経理業務が膨大になります。注文履歴データやシステムでデータ化された取引情報があれば、それを経理業務に活用でき、自由度の高い振り分け・配賦が可能になります。

費用の振り分け業務

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経理の現場では、各店舗、支店、部門で仕入れた商品・サービスの請求書が届きます。各店舗、支店の損益を明確に算出するには、請求額を各店舗に共通する負担分や部門ごとなど、費用を項目別に振り分ける必要があるため、各店舗、支店、部門ごとにばらばらに届く紙の請求書を企業の基幹システム等に入力していきます。

一方で、1社の発注先からの利用が各店舗にわたる場合には、全社で一式だったり店舗で一式であったり明細がわかりにくい請求書となり、各店舗、部門への費用の振り分けが困難なケースもあります。また、発注先の経理システムの制約で必要な振り分けに対応ができないこともあります。

拠点数が少ない場合は問題になりづらいですが、数百店舗以上など拠点数が多くなればなるほど、経理処理の業務は肥大化していきます。

注文システムのデータベースの活用

各店舗、支店の印刷物の注文履歴がデータベースとして蓄積される注文システムがあれば、CSVデータとして書き出すことができます。

他にも、注文システムのデータベースを活用することで、各店舗への費用配賦や店舗損益の算出、企業経営の意思決定に関する会議資料としての利用など、蓄積されたデータを有効に活用することができます。

おわりに

今回は、印刷物の発注担当者が知っておきたい多店舗にまたがる印刷物の「発注」「経理業務」を圧倒的にラクにする方法についてご紹介しました。発注仲介業務で生じる手間を軽減するためにも、システム導入はいまや必要不可欠です。

販促物の制作過程をシステム化することで、注文情報がデータベース化され、各店舗・拠点での印刷物の利用状況を一元管理できます。これにより、従来よりも容易に購買管理が実現でき、決済・承認についてもシームレスにやり取りできるようになるため、発注担当者の負担を間違いなく軽減できます。

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